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【氷川竜介の「アニメに歴史あり」】第1回 目を惹きつけるピンポイントの《光》

本コラムでは、歴史や技術的な観点を重視しつつ話題を選んでみたい。見過ごしがちな着眼点を選びつつ、日本のアニメの歴史との関係を絡めて語っていこうと思う。  第1回目のテーマは「ピンポイントの光」である。近年、特にバトル重視の作品では、ロボットのパーツや装具、武装の一部を常時光らせながら戦う演出が増えている。メカのインジケーターやエネルギーの存在を示すライン状のストライプ、そんな輝きが激しいボディアクションに連動するとき、アニメ特有の感情が喚起される。料理におけるトッピングみたいな位置づけだが、確実に目が離せなくなる効果を有しているのだ。  自分が強く意識した事例としては、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(2007)のエヴァンゲリオン初号機が挙げられる。碇シンジが初起動した機体は、第三新東京市の夜景で使徒と戦うその中でグリーンのラインを常時光らせていて、実に衝撃的だった。1995年のテレビシリーズ時点で、実はラインが自発光しているという設定はよく見ると分かる。セル上の塗り分けではあるが、そこだけカゲがなくノーマル色なので色指定の妙で光っていると感じさせていた。デジタルで再生した「新劇場版」では、常時「光そのもの」を見せる表現に変わったことで、本来の意図がより明確になったのである。  これは新旧エヴァの10年間に、アニメの「撮影」がデジタル化されたことから受けた恩恵のひとつである。「表現の進化」が《光》に宿っているということなのだ。