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【氷川教授の「アニメに歴史あり」】第15回 オリジナル音源への熱望感

アニメ音楽の「オリジナル劇伴(BGM)」に関する話を続けよう。自分がその存在を知ったのは、1974年放送の「宇宙戦艦ヤマト」からであった。桜台の制作スタジオ見学時、演出ルームにオープンリールの6ミリテープを見つけたのである。そこで初めて「毎回番組に流れる音楽に元(マスター)がある」という概念を知った。アニメ雑誌もなければ「音楽集」の商品もない時代、今では当たり前のことも、自分で発見せざるを得なかった。  セリフや効果音の重なっていない原音の存在を知り、何とか繰りかえし聞けるようにしたいと、必死で頼み込んでSONYのカセットデンスケを持ち込んでコピーさせていただいた。考えれば迷惑な話だが、それぐらい情熱があったのである。なぜ「デンスケ」かと言えば、プロ用音楽は全部ステレオだと思い込んでいたからだ。ところが驚いたことに、BGMはモノラル録音だった。テープ速度もレコード用の毎秒38センチではなく、半分の19センチである。それでもオリジナル音源を聞いてみると、「A-1」などMナンバーと呼ばれる分類記号と仮タイトルがついていて、映像にはない曲のラストがあったり、演奏ミスをテープ編集でつなぐ指示があるなど、驚くべき情報が多数あって感激した。