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【前Qの「いいアニメを見にいこう」】第12回 「ベイビーアイラブユーだぜ」で考えちゃったんだぜ

あけましておめでとうございます。いつもより早い更新間隔でお届けしております。「新年一発目ですし、イレギュラーな更新ですので、いつもと違う雰囲気でもオッケーです」と編集さんから寛大なオーダーをいただいたので(もともとこのコラム連載のお題は、かなり自由な裁量が与えられてるんですが)、ふわっとした感じでお届けしましょ。

というわけで、見ました? 「ベイビーアイラブユーだぜ」。「京騒戯画」「血界戦線」の“あの”松本理恵監督の最新作ですよ。まだご覧になってないなら、この文章のちょい下の方に動画が埋め込んであるのでお先にどーぞ。企画の公式サイトはこちら。 https://www.lotte.co.jp/entertainment/70th/

わずか4分弱の長さにものすごい情報量が詰め込まれていて、それでいてスタイリッシュかつポップ。いや、詰め込んでいるからこそ、スタイリッシュかつポップなのだ、というべきでしょうか。アニメにおいて情報密度の高さがテンポのよさ、映像の快楽につながるというのは、庵野秀明さんの仕事などを見てもわかることなので。とまれ、やはり松本監督、さすがですよ。ついつい繰り返し見たくなってしまう。たまらんですばい。

で、この企画なんですが、いきなり降って湧いたようなものではなく、いろいろな大きな流れがあって出てきたものなわけですよね。日清カップヌードルの「アオハル」シリーズ(も、もうウェブ上に公式の動画が残っていない……)だとか、スタジオコロリドの一連のCMワークだとか。まあ、近年の企業の宣伝活動とアニメの関係についての詳しい話は、ここでワタクシが私見を述べるよりも https://bae.dentsutec.co.jp/articles/anime/  だとか https://dentsu-ho.com/articles/6417  といった記事で当事者のみなさまのコメントを直接お読みいただければ。べっ、別に手抜きってワケじゃないんだからねっ!(唐突なツンデレ)

ほかにも、片渕須直監督と「この世界の片隅に」スタッフによるオタフクソースのプロモーションWeb動画のショートアニメもありましたし、もっと遡ると新海誠さんの大成建設やZ会のCM、スタジオジブリのハウス食品のCMも思い浮かびますよ。というか、そもそも「CMとアニメ」というお題は、白黒テレビ時代にまで遡れる(トリスウイスキーとか、桃屋とか)、それだけで本が1冊書けてしまうくらいのテーマなわけで……ってなわけで、ズラズラっと名前を挙げるのはこのへんにしておきます。そこは今回のコラムの本題じゃないんざんす。ブルーレイやDVDのセールスによって利益を出すビジネスモデルの崩壊が叫ばれるようになってから久しく、さまざまな形でアニメ業界の構造転換が起こっていると一介のアニメライターでしかないワタクシの身にもヒシヒシと感じられるようになっているのですが、この「ベイビーアイラブユーだぜ」も、そんな構造転換の一部に位置づけられるのではないかという話なんですよ。エッジなクリエイターの作家性とビジネスの折り合いをつけるポイントとしての企業CMの可能性、みたいな。劇場作品の本数増加や定額配信サイトの普及が、近年のアニメをめぐるホットなトピックのひとつだったわけですが、事態は次なるステージへと進んでいるのではないかしらん、といった感じです。

……書いてる自分でもちょいと「なんのこっちゃろう?」と思いもするのですが、まー、その、最初に宣言したとおり、今回はふわっと、薄目でアニメ業界を眺めたときの雑感を記してみた次第であります。雑感だけで終わらせず、おいおい取材などで深掘りしてみたいものですわ……というのをひとまず2019年の抱負として掲げてみますが、んなこといいながら、去年と同じく、相変わらずアニメを見て「尊い……」とうめいているだけかもしれないなー。ま。所信表明、するだけタダってことで。

では、こんなところで、本日はさようなら。1月中にもう一度、この連載でお会いしましょう~。……あ、そうだ! 1月12日(土)に新宿ロフトプラスワンで開催されるトークイベント「日本オタク大賞2018」に、アニメ部門のプレゼンターとして登壇します。お暇なら遊びに来たってくださいな。よろしくです!

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