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「ドラゴンボール超 ブロリー」野沢雅子が実感する悟空の秘めたる力 拳を交わした強敵はみんな友だち

12月14日公開の劇場アニメ「ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー」。劇場版「ドラゴンボール」シリーズの記念すべき20作目の節目に、“シリーズ最強”の呼び声も高いサイヤ人・ブロリーが帰ってくる。32年間もの長きにわたり、主人公・孫悟空とともに戦い続けてきた野沢雅子に話を聞いた。

――テレビシリーズ「ドラゴンボール超」の放送が今年3月に終了して、「ブロリー」の収録までに多少間が開いたかと思いますが、久しぶりに悟空を演じていかがでしたか。激しいバトルシーンが盛りだくさんですので、お疲れになったのではないでしょうか。

野沢:私の中では悟空とずっと一緒に生活していたので、久しぶりという感覚はまったくないですね。バトルシーンについても心地よい疲労で全然つらくはなく、むしろ「やった!」とスッキリしたくらいです。

――悟空同様、元気印ですね。今作「ブロリー」のストーリーについて、どんな感想をもたれたでしょうか。

野沢:とても鳥山(明)先生らしいお話だなと思いました。公開前に詳しいことは言えませんが、鳥山先生のファンになら絶対にわかってもらえると思います。「やっぱりこれだよな!」と言っていただけるはずです。

――1994年以来、24年ぶりの登場となる、ブロリーの印象はいかがでしょう。

野沢:悟空たちを応援してくださるみなさんから見ると、「とんでもないヤツだ!」となるのかもしれません。でも、私はなんととなく愛すべきところがあると思うんです。根っからの悪人だと感じさせない、あの人の、物静かで優しげなムードが、とても魅力的だと思います……つい“あの人”と言ってしまいましたが(笑)。

――野沢さんご自身も、もうブロリーと友だち感覚なのですね。

野沢:そう、悟空と同じです。悟空はマイナス思考がゼロの人で、どんなに悪人であっても、単純に“悪”と決めつけることはしません。みんなが友だちだと思っていて、悪いことをしているヤツに対しても「それは違う! みんなと仲良くやっていかなければいけないんだ」との思いで、ぶつかっていきます。そして、激突するなかで、いつしか相手も「あいつはしょうがない奴だけど、友だちになれそうだ」と思ってくれる。私は、悟空のそういうところが大好きなんです。
 テレビシリーズ「ドラゴンボール超」では、あのフリーザとすら一緒に戦いました。「ブロリー」のフリーザも、もちろん悪いことはするけれど憎めない一面があります。そうした新しい顔が見えてきたのも、やっぱり悟空のおかげだと思うんです。人間って、根っから本当の“悪”なんていないでしょう? 立場や状況が悪事に走らせるだけであって、どんなに嫌な人や悪い人でも、どこかしら良いところ、好きになれるところがある。悟空の力は、そうした部分をどんどん膨らませることができるところだと思うんです。

――今作での野沢さんは、悟空と悟天、そして悟空の父バーダックを演じていますが、どのように演じわけているのでしょうか。

野沢:よく聞かれることですが、意識したことはないんです。悟空も悟飯も悟天も、ずっと私の心の中に、一緒にいるんですよね。そんな彼らが、フッとみんなの前に現れてくれるだけで。長い間、物語のうえでは出番のなかったバーダックについても同じです。

――今作では、バーダックの父親としての顔がクローズアップされます。息子であるカカロット(悟空)のことを気づかい、その後の運命を左右するようなシーンもあり、意外な一面が見えたと感じました。

野沢:私としては、意外ではありませんでした。だって、現実でもそうじゃないですか。どんな人でも、家族のことは特別です。バーダックはサイヤ人の戦士ですが、やっぱりひとりの父親なんですよね。「ドラゴンボール」はアニメですが、私たちは“生命を吹き込んでいる”から、キャラクターたちはみんな自分のなかで生きています。生きているから、現実と同じなんです。そして、子どもにとっての親も、どんな親でもやっぱり親。そういった親子の絆を感じとっていただけるとうれしいですね。

――今作は、劇場版「ドラゴンボール」の20作目となるアニバーサリー作品です。86年の第1作「ドラゴンボール 神龍の伝説」公開以来、32年間ずっと悟空を演じられてきて、特に印象的だったできごとはありますか。

野沢:特別なことではないのですが、(テレビシリーズの収録で)毎週悟空と会えることがとても楽しみでした。尻尾がある子どもの頃から悟空のことをずっと見続けてきて、「悟空みたいに純粋な人が本当にいたら、世界はもっと楽しくなるのにな」と、いつも思っています。

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