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【前Qの「いいアニメを見にいこう」】第5回 ひぐらしがなく、僕は泣く 「ラストピリオド」にほっこりはん

アニメもいろいろ。こってりした中華料理を食べたい日があれば、さっぱりとした和食を食べたい日もあるように、ゴリゴリとハードな設定が詰め込まれたアニメが見たい日もあれば、ノリがよくてキャラがひたすらにかわいいライトな肩の凝らないアニメをダラダラと楽しみたい日もある。あたりまえ、あたりまえ、あたり前Q。ともあれ、今期(2018年4月クール)、後者のほうの期待に応えてくれたアニメのひとつが、「ラストピリオド -終わりなき螺旋の物語-」だった。

原作はスマホ向けのファンタジーRPGで、主要キャラクターや世界の基本設定はゲームとアニメで共通。しかし作品全体のテイストやストーリーに関しては、コミカルな味付けが施されている。中華料理と和食のどちらのほうがつくるのが難しい料理か? という問いが愚問であるのと同様に、ハードなアニメよりライトなアニメの方が簡単につくれるという道理はない。尖らせ過ぎず、かといって退屈にはならず、かわいさとおもしろさのバランスをとるというのは結構厳しいものである。「ラスピリ」はその点、絶妙なさじ加減だった。まさに職人芸。

全体的にメタネタ、楽屋落ちの嵐。やれ「温泉回」だの、「水着回」だの、「最終回直前の盛り上げ」だのと、いわゆるアニメの「お約束」に作中のキャラクターがツッコミを入れる。そういうことをしながらも、「お約束」から生じる気持ちよさのツボは外さない。お風呂シーンは肌色面積たっぷりだし、水着だって出し惜しみなし。これこれ、こういうの。アニメの楽しさってこういうのだよ(※3日後には違う作品に同じこと言ってると思います)。アニメのテンプレートだけじゃなく、ガチでそれに触れちゃっていいのか? すごーい! みたいなインターネット発の際どいネタまでぶっこんでくるが、それもさほど嫌味がないんザンス。

そんな「ラスピリ」、ひとつだけ冒険していると感じたのが、原作ゲームでのコラボ企画をアニメに取り入れていた点。このコラムで取り上げようと思った理由も、実はそこんとこが大きいのだ。最近のスマホゲーでは、既存の人気タイトルとコラボをして、ゲームのレアキャラとして別作品のキャラが登場するだけでなく、そのキャラクターを活かしたコラボシナリオも展開される。「グランブルーファンタジー」の「スレイヤーズ」コラボなんかは、原作ファンも納得の力の入った内容で、大変な話題を集めたのでご存じの方も多いのでは。そういうのって、これまでのスマホゲーのアニメ化では、(当然のことながら)取り入れられてこなかった。しかし「ラスピリ」では第3話で、原作ゲームのコラボ企画に登場した「ひぐらしのなく頃に」のキャラクターが大量に画面に登場したんである。

これはね、イイと思いましたよ。「ひぐらし」のそこまで熱心なファンではないワタクシでも、テンションが上がった。ちょっとした「レディ・プレイヤー1」感。スペシャル感、お祭り感がありますよ。これからのスマホゲーのアニメ化でも、どんどんやってほしい。いろいろな作品のファンとファンをつなぐような試みが、アニメファンの趣味嗜好が細分化し、日に日に分断が進む今の世の中には必要とされているのではないだろうかっ!?

というわけで、ド級の大作ではないものの、見逃せないアニメであり、後続するアニメにも真似してほしい点があった「ラスピリ」でありました、ってなところで今回はおしまい。また次回~。

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