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神谷浩史&井上和彦「夏目友人帳」との10年間 スタッフ&キャストの思いが結実した劇場版

神谷浩史は「僕の代表作は『夏目友人帳』でいい」と真っすぐな眼差(まなざ)しで語り、井上和彦は「ずっと携わっていたい作品」と穏やかな笑みを浮かべる――。緑川ゆき原作の人気テレビアニメ「夏目友人帳」を映画化した「劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ」が9月29日に公開を迎える。テレビアニメは第6期まで制作され、2018年にアニメ化10周年を迎えた同シリーズ。初の劇場版となる今作は、オリジナルストーリーでありながら全編にわたって“夏目友人帳らしさ”があふれ、神谷は「絶対的に自信のある劇場版ができた」と胸を張る。スタッフ&キャストが“作品とともに歩んできた10年間”が、最高の形で実を結んだ。(取材・文・写真/編集部)

■作品と誠実に向き合ってきた10年 芽生えた“覚悟”と揺るぎない“愛情”

――この10年を振り返り、お2人にとって「夏目友人帳」とはどのような作品でしたか。

神谷:テレビアニメ第3期、第4期の打ち上げで、「自分の代表作が『夏目友人帳』であり続けるのは、作品に対して失礼な気がする。年を重ねるにつれて代表作が変わっていくような役者にならないといけないのではないか。そうでないと、作品に対して申し訳ない気がする」と言いました。ですが、第5期、第6期とやらせていただき、10年目を迎えて劇場版を作ることになった時に、「もう僕の代表作は『夏目友人帳』でいいや」というか。「夏目友人帳」が僕の代表作として揺るがないことは、作品に対して失礼なわけではない。でも代表作として掲げるからには「作品に恩返しをしていかなければいけない」という考え方に、この10年で変わったと思います。

作品に恩返しする方法は、まだわかりません。この作品が、緑川先生が納得のいくエンディングにたどり着いた時に、僕がいて和彦さんがいて、映像として皆さんに最後までお届けできることが、もしかしたら恩返しなのかもしれません。

井上:はじまった時は、ここまで長く続くとは思っていませんでしたが、「楽しいし、好きな作品だな」「続けばいいな」と思っていました。でも(第3期放送までに)2年も経ってしまい、ちょっと諦めかけた頃にまたやることになり「やったあ!」と。人間って欲が出てくるもので、第4期までくると「次はないのかなあ」みたいな(笑)。そこから(第5期放送までは)さらに4年以上の月日が空きましたが、常に「ずっと携わっていたい作品だな」と思っていました。

■10年をともにした“相棒”に思うこと

――神谷さんから見た「ニャンコ先生の変化」、井上さんから見た「夏目の変化」を教えてください。

神谷:ニャンコ先生のスタンスは基本的には変わっていませんが、2人の関係性は進歩しました。今までは夏目が無茶すると、ニャンコ先生が「仕方ないな」と助けてくれましたが、今は夏目が「ニャンコ先生頼む」と言えるようになり、第5期、第6期あたりで「関係値がちょっと変わったな」と思いました。

井上:話の流れのなかでの自然な変化なので、夏目も根本的には変わっていないと思います。夏目は、人と触れ合い、友達ができたりするなかで、だんだん心を開いていった。ただ神谷くんに関して言えば、僕に対して遠慮がなくなってきたなと(笑)。

神谷:(笑)

井上:良い意味でです(笑)。良き役者仲間として心を開いてくれていて、お芝居がしやすいというか。お互いを感じ合いながら演技をしていると感じています。最初の頃は、他の作品で共演したことはありましたが、ほとんど初めてみたいな感じだったので、ちょっと固い部分があったと思います。その関係性が役にもシンクロしていて、“固さ”が自然ととけてきたという感じがします。

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